問×美

  • 問屋まちスタジオ
  • 2017.11
  • 問×美2017~おこし絵茶室で新しい問屋まちスタジオと工芸建築を考える Part2〜

    2017年10月24日

    対立・分断から対話・融合へ

    千利休作といわれる国宝「待庵」は、寺の軒を借り、雨戸の戸板を立てて茶室とした仮設の二畳がその原型だといわれています。明智光秀との山崎の合戦に秀吉とともに戦場を駆け巡った利休 − 「待庵」は利休と秀吉が戦場で人間性を求めて行った茶会から生まれたのでしょう。故に「待庵」は茶室の素形だといえます。いらないものをすべて削ぎ落としたミニマルな形だからこそ持ち得る力強さがあります。
    おこし絵からつくる問屋まちスタジオの「待庵」は、まさにその力を借りて、さまざまな対話を起こすことをめざしています。もともとコミュニケーションの場であり、さまざまな対話を生みだす装置でもある茶室を、対話を通じて、お互いに対峙する異質でばらばらなものが融合する実験の場としたいと思います。
    まず、ひとつ目の対話として<問屋と芸術>があります。作家と工業製品をつなぎ、経済優先の問屋と感性優先の芸術の融合をめざしています。問屋町で製造し、あるいは扱っている商品と各作家が対峙し、生みだされる作品 − そこから作家による商品、製品との対話が生まれます。
    ふたつ目に<人とひと>の対話があります。茶会本来の目的で人々をつなぎ、問屋まちスタジオをアートファクトリーとする構想の組織づくりやネットワークづくりを行います。対話を「もの」の象徴としておこし絵茶室を、また同様に「こと」の象徴としておこし絵茶会を設定しました。
    最後、みっつ目の対話が<工芸と建築>です。かつて工芸的であった建築、空間における芸術的職人技が耀いた時代がありました。それらは機能的で装飾を排した意匠や合理的で手業による設えを排した近代以降の建築が失ってきたものです。ここでは、もう一度、建築に工芸・アートを引き戻す実験の場としたいと思います。
    なお、今回の企画は協働組合金沢問屋センター設立50周年と金沢美術工芸大学との連携協定調印7周年を記念し、問屋まちスタジオで開催するものです。また、昨年度の問×美2016を引き継ぎ、その第二弾として展開するものです。

    場  所|問屋まちスタジオ(金沢市問屋町1-90)
    会  期|2017年11月11日(土)-11月19日(日)会期中無休
    時  間|11:00〜18:00
    参加作家|石森良隆・伊能一三・岩井美佳・戸出雅彦・中瀬康志・真鍋淳朗・宮﨑匠・坂本英之(ディレクション)
    主  催|問屋まちアートファクトリープロジェクト実行委員会
    協  力|協同組合金沢問屋センター 金沢美術工芸大学 認定NPO法人金沢アートグミ
    制作協力|田中信行
    素材・技術提供|
    石川トヨペット株式会社金沢西店 株式会社アイネックス 株式会社コシハラ
    株式会社東山商会 株式会社ほくつう 株式会社ヤギコーポレーション 川崎株式会社
    泰和ゴム興業株式会社 塔島株式会社 ナカダ株式会社 北日商事株式会社
    有限会社ネーミングこしの 有限会社吉野利工具
    助  成|いしかわ県民文化振興基金
    問  合|認定NPO法人金沢アートグミ 076-225-7780 / info@artgummi.com